HACCP(ハサップ)とは?
HACCP(ハサップ)とは、アメリカで始まった食品製造の安全性確保の管理手法です。
1993年に、Codex(コーデックス)委員会にて、「HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)システムとその適用のためのガイドライン」を採択したことがはじまりです。
当時、HACCPシステムの採用を各国に求める動きがあったものの、日本の導入は遅く、1995年にHACCPによる衛生管理を食品衛生法に位置づけました。
2018年6月に、HACCP義務化法が可決し、HACCPに沿った衛生管理の制度化は2020年6月に施行しました。
猶予期間が1年間ありますが、2021年6月には、旧食品衛生法が廃止され、HACCPの完全義務化となります。
HACCP(ハサップ)と建設との関係は?
HACCPに精通する食品業界関係者は、「HACCPは、食品関連事業者の管理手法であって建設とは関係がないものである。」との意見をよくお聞きします。
ただし、食品衛生法に基づく衛生管理では、①管理運営基準(ソフト面)、②施設基準(ハード面)があるため、HACCPに基づく安全管理(ソフト面)だけでは十分とは言えません。
つまり、食品関連事業者は、ソフト・ハード両面によって食品製造の安全性を確保していく必要があります。
HACCP(ハサップ)では、食品の製造・加工、調理、販売等を行う食品等事業者をはじめ、保育園・小中学校・医療・福祉施設の調理施設などにも対応が求められます。
HACCP(ハサップ)導入における課題とは?
改正された主な施設基準
ねずみや昆虫の侵入を防止できる設備がある
作業区分に応じた間仕切りがある
「空気の流れ」を管理する設備がある
結露、かび、水滴などを防ぐ換気設備がある
水栓は洗浄後の手指の再汚染が防止できる構造である
汚染を防止できる専用の容器を使用している
組立式の機械器具は分解及び清掃しやすい構造である
適切な温度で十分な量を供給する給水設備がある
汚水の逆流で食品や添加物を汚染しない配管である
例えば、上記の対応が不十分な場合は、営業許可・更新時に、食品衛生指導員の指導対象となります。
「中小企業に新たな負担を課すような大幅な条例改正はできない。」との声が、食品業界の関係者からあがっています。
これは、厚生労働省から、都道府県や保健所が設置してある市区町村に対して、「HACCPの取組みに対して、新たなコスト負担が生じることがないよう考慮しなければいけない」という通達が出ていることが背景にあります。
つまり、食品関連事業者は、ソフト・ハード両面によって食品製造の安全性を確保していく必要がありますが、実情は、コスト負担は最小限に抑えなければいけないという乖離が生まれていることになります。
食品事業者に求められる姿
食品事業者は、食の安全に精通したプロとして、ユーザーの視点から①管理運営基準(ソフト面)を想定して、②施設基準(ハード面)を計画していく必要があります。
ISO22000、FSSC22000など認証を既に取得している企業では、より高いレベルの食品安全・衛生基準への対応が求められています。
失敗しない食品経営のポイントは、運営上、投資が必要なものに対して、本業の食品経営に投資を回すために、建物・設備にかける投資やトータルコストをできる限り抑えることが大切です。
過去の付き合い先企業に毎回依頼し、100%満足を得られていないケースは多くあります。管理運営面まで相談できる最適なパートナーに、アドバイスをもらうことをおすすめします。